第25回寺子屋サルーンを開催しました(令和3年12月19日)

令和3年12月19日(日)に、交流サルーンいばらきにて、第25回寺子屋サルーン『オンラインサロンづくりの第一歩』を開催しました。
講師は、オンラインでの居場所づくり活動を行う、つくば市の市民団体UDワークの代表である前田亮一さんです。

 


UDワークとは

講師の前田さんは、つくば市で作業療法士として地域リハビリテーションを担っており、UDワークとして要介護や認知症のシニア世代の社会参加を支援する活動を行っています。コロナ禍で社会参加の場が減ってしまう中で、誰もが「オンラインサロン」という形で地域とのつながりを持てるよう、さまざまな支援を行っています。

 


オンラインサロンについて

オンラインサロンとは

UDワークでは、「オンラインサロン=オンラインでの居場所づくり活動」としています。
具体的に、シニア世代の方にスマートフォンやタブレットの操作を体験してもらう、ボランティアとして参加している地域の学生(先生)とシニア世代(生徒)をつないで関係をつくる、これまで行っていた集まりや講座をオンラインで行うためのサポートやイベントサイトの運営といった活動を通じて、さまざまな団体や活動者の「オンラインでの居場所づくり活動」をサポートしています。

オンラインリテラシーの育て方

ICTに対して抵抗感のあるシニア世代等の方に、オンラインでも居場所をつくれるようになっていただくには、オンラインリテラシーを育てていく必要があります。
何よりも、スタートは「体験」です。コロナ禍で、UDワークをはじめとするさまざまな団体や行政などが体験の場を設けているため、そのような場を利用しながら、まずは体験してみることが大事というお話しがありました。
体験には失敗やトラブルがつきものですが、反復練習なしに一度で全てを理解して使いこなすことはできません。オンラインサロンに参加する側・主催する側の双方が、失敗やトラブルがあって当たり前と思って挑戦してみようとのことでした。

 


オンラインサロンを体験する

オンラインサロン運営の3ステップ

オンラインサロンやオンライン講座の場合、会議や講座の開催に特化したビデオ通話ツール「Zoom」を使うことが多くなっています。
まずは、Zoomでオンラインサロンを運営する際の3ステップ、①Zoomの事前準備 ②Zoomの練習 ③Zoom主催の補助についてお話ししていただきました。

①Zoomの事前準備
シニア世代の方などのICTに抵抗のある方にとって、事前準備の工程が最難関である場合が多いといいます。アプリケーションのダウンロードやインストール、アカウント登録やサインインなど、オンラインツールの導入には欠かせない手順の多くは、慣れない人には理解しにくい用語と操作ばかりです。
ですが、この工程は利用の度に毎回行うものではなく、一度行えばいいものが多いため、本人ではなく得意な方がサポートまたは代行してあげることもできます。
事前準備には機器類や通信環境の準備も含まれますが、コロナ禍で急速に活動のオンライン化が進んだこと、キャリアが提供するガラパゴス携帯(ガラケー)向けの3Gサービスの終了が近いことなどから、それらはここ2年ほどでより急速に普及しており、この点についてはあまり問題にならなくなっています。

②Zoomの練習
環境が整ったら、実際にZoomを利用して練習してもらいます。
主催側は、よりシンプルでわかりやすい言葉を用いた説明をする、できる限り少ない工程数にする、電話で(言葉だけで)教えられるようにする、参加者のリテラシーはそれぞれ異なることを意識する、などの心構えをもったサポートが必要です。
参加側は、とにかく失敗を恐れず何度も繰り返しやってみること、全てできるようになろうとしないこと、困ったときに相談できる関係やサービス(地域のスマホ講座やボランティアなど)を利用することで、少しずつ覚えていきます。

③Zoom主催の補助
Zoomをある程度利用できるようになったら、主催としての操作やサポートを覚えます。現在は、オンライン活動やイベントの主催をサポートするサービスや団体も多いため、それらを利用して経験を積むことが大切です。

 

Zoomを体験

今回の寺子屋サルーンに参加していただいた方々に、実際にZoomでのやりとりを体験していただきました。
UDワークでサポート活動をされている大学生ボランティアの方が主催者となり、参加者は質問に対するリアクション(手を挙げるボタンの操作)や自己紹介を行いました。
本講座にオンラインで参加されている方や、すでにオンラインサロンを運営されている方にとっては慣れた操作でしたが、自己紹介ひとつでも、ミュート(消音)になっているマイクをONにする→話す→再びマイクをOFFにするという作業が必要です。
複数人の参加する会議や講座では、声が重なったり雑音を拾ったりしないようにするために行います。

 


オンラインサロンをはじめるポイント

そもそもなぜオンラインサロン?

コロナ禍では、対面での活動の多くが制限されています。体と心の健康を維持するためのさまざまな活動が行えなくなり、とくにシニア世代や障がい・基礎疾患のある方の社会参加の機会が奪われています。
ですがオンラインサロンは、これまでの活動の存続はもちろん、誰もがどこからでも参加できるという特性から、社会参加の機会均等化が期待できるという面もあります。
今後も今のような状況がしばらく続くと想定すると、さまざまな形の社会参加に備えるためにも、オンラインサロンを学ぶ必要があるとのことでした。

オンラインの活用

オンラインサロンには、完全オンライン開催とハイブリッド開催の2形態があります。それぞれにメリット・デメリット、運営の方法やよく起こるトラブルに違いがあります。
とくに、ハイブリッド開催の場合はトラブルが増えます。会場参加者の端末セッティングによってハウリングなどの音響トラブルが起こったり、カメラやマイクのセッティングによってオンライン参加者とのコミュニケーションが困難になったりするため、オンライン参加者は会場でのトラブルの解決を待たなければなりません。
そのような状況を少しでも改善するためには、やはり繰り返し経験しておくこと、企画運営や進行と機械や環境のサポートを分けた体制にしておくことが重要というお話しでした。

 


UDワークのサポート

自由な外出が難しい環境や体である、健康に関してすぐに相談・改善したい、などの悩みがあるシニア世代にこそ、自宅からすぐにつながれるオンラインは向いています。
実際に、UDワークではオンラインを活用した自宅でできる健康サポートを行っています。
その他にも、UDワークで活動する大学生ボランティアのサポートによって高齢女性がオンラインで活動を続けている事例や、音楽の趣味を通じて集まった人たちでのオンラインサロンの事例など、オンラインを使った社会参加の例を紹介していただきました。

 


さいごに

今回講師をしていただいた前田さんの運営するUDワークはもちろん、今では多くのオンライン化サポートサービスがあります。
自分には無理だと思っていたことも、そういったサポートを利用することで実現できるかもしれません。
少しずつできることを増やし、少しずつ周りにも興味を持ってもらい、できる範囲で教え合い、その輪が徐々に広がることで活動のオンライン化は進んでいきます。
そうして、誰もが社会参加の機会を失うことなく、活動の幅や選択肢が増え、人と人とのつながりがつくられることの大切さを、改めて感じる講座となりました。

講師のUDワーク 代表 前田さん 会場参加のみなさん UDワーク大学生ボランティアの方

次回の寺子屋サルーンは、令和4年2月13日(日)、2月27日(日)に、地域活動のオンライン化を目的としたSNS・LINEの活用に関する講座を開催する予定です。
詳細は後日改めてお知らせいたしますので、もうしばらくお待ちください。