旧十王町の新しい郷土芸能
「十王鵜鳥舞」は、旧十王町が日立市と合併した翌年の平成17年に、日立市立十王中学校の先生・生徒たちと、東京の民族歌舞団「荒馬座」が、協力して作り上げた創作芸能です。
合併後も旧十王町の伝統を引き継ごうとの思いから、日本唯一の海鵜捕獲地であるという地域の特色を生かして、衣装、小道具、お囃子、踊りを工夫しました。
男子生徒は「鵜捕り」、女子生徒は「海鵜」の舞を踊ります。
「鵜捕り」の舞は、鵜の足にカギ棒を引っかけて鵜を捕まえようと
する様子を、「海鵜」の舞は、鵜が海上を羽ばたいている様子とカギ棒をよける様子を表現しています。 さらに、「十王」の舞は、八幡太郎義家が、太刀を執って巨石を真二つに割ったという堅破山の太刀割石の伝説を、十人の王の舞で表現しています。
また、太鼓・篠笛・唄のお囃子も、生徒たち自身で担当します。
日本唯一の海鵜捕獲地
十王町にある伊師浜海岸は、全国の鵜飼地に海鵜を供給している唯一の場所です。
十王鵜鳥舞のモチーフである海鵜の捕獲は、4~6月と10~12月の年2回行われています。
伊師浜海岸の断崖が、春と秋に渡ってくる海鵜の休憩所となり、全国の鵜匠からの注文を受けて、毎年40羽ほど捕獲しています。
おとりの鳥に誘われ、鳥屋の前に舞い降りた鵜の足首を、カギ棒で引き寄せ捕獲します。
伊師浜国民休養地内には、「鵜のパラダイス」があり、海鵜を身近に見ることが出来ます。
2年生から1年生へ
舞を踊るのは、2年生と決まっており、毎年、2年生から1年生へと引き継ぎます。
取材の日、生徒たちは、それぞれの部活動に分かれ、先輩から後輩に振り付けを教えていました。
先輩の熱心な指導に応えるかのように、1年生はあっという間に振りを覚えてしまいました。
生徒の1人は、「夏休み中の暑い中で練習をするのは大変でしたが、鵜鳥舞のこの振りが好きです。」と、お気に入りの振りを踊って見せてくれました。教頭の中野先生は、「十王鵜鳥舞の一番のねらいは、郷土を愛する心を育むことです。生徒たちは、自分たちの町は、こんなにいい所なんだという思いを込めて踊っています。」と話します。
生徒たちの練習の成果は、中学校の体育祭、十王地区運動会、日立シビックセンターで行われるひたち秋祭り等で披露されます。
日立市十王町友部600
推薦者:大好きひたちネットワーク
代表 柴田親昌