2026年1月24日(土)、「安心の輪を広げよう!地域活動団体のためのAED&防災講座」を、茨城県水戸生涯学習センター 大講座室にて開催しました。

今回は、第一部「救命スキル」、第二部「災害時に役立つスキル」の二部構成で、いざという時に命を守り、支え合うための実践的な内容を学びました。
共催は、茨城県水戸生涯学習センター、特定非営利活動法人いばらき救命教育・AEDプロジェクト、特定非営利活動法人茨城県防災士会です。
第一部の講師は、特定非営利活動法人いばらき救命教育・AEDプロジェクト 理事長/医師の立川法正さん。
第二部は、特定非営利活動法人茨城県防災士会の野上大介さんにご登壇いただきました。
第一部:救命スキル
(心停止の判断、AEDの使い方、心肺蘇生法の基本)

第一部では、救命に関する基礎スキルを学びました。
まずは心停止の判断について。
心停止には、心臓が完全に止まっている状態と、心臓が細かく痙攣している状態(心室細動)の2種類があること、そして「目の前で人が急に倒れた」などの突然の心停止は、その約9割が痙攣状態であることが説明されました。
この異常な痙攣を止め、心臓を正常な動きに戻すために使われるのがAED(自動体外式除細動器)です。
AEDは、心臓が完全に止まっている場合や、正常に動いている場合には作動しません。AEDが測定した心電図をもとに自動で判断してくれる仕組みになっているため、迷わず使用することが大切だというお話がありました。
続いて、このAEDの使い方について。
電源を入れ、音声の指示に従って進めること、パッドは「右胸の上あたり」と「左わき腹の下」に貼ることを確認しました。左右に迷ったときは、本体に記載されている図を見ること、心臓を挟み込むイメージで貼ることがポイントです。
また、さいたま市で行われている「ASUKAモデル」という教員研修に関するビデオを鑑賞しました。
ASUKAモデルは、小学校で課外活動中の児童が倒れた際に、教員たちが正しく心停止の判断ができず、AEDを使用できなかったことで起きた事故をきっかけに生まれたものです。AEDは、そこにあるだけでは意味がなく、使う人がいてはじめて救命につながります。心臓の痙攣が続く時間、つまりAEDによる蘇生が見込める5分以内に行動するためには、心肺蘇生法を教わる・学ぶ人が増えるだけでなく、自らが教える立場になってスキルアップしていくことが大切であるというお話があり、一人でも多くの人が備えておくことの重要性を改めて学びました。
▶心肺蘇生法の基本について
今回の講座では、「あっぱくん」というトレーニングキットを使って、一つずつ手順を確認しながら進めました。
まずは自分自身の安全確認。
次に、倒れている人の反応の確認として、「大丈夫ですか」と声をかけ、肩をたたき、痙攣がないかを目で見て確認します。反応がない、痙攣している、またはその判断に迷う場合は、119番通報とAEDの手配を行います。
呼吸の確認では、以前多くの方が教わったことのある「相手の口元に耳を近づけて聞く方法」ではなく、胸やお腹の上下を目視で確認します。耳で聞くと、通常時の呼吸と即座に心肺蘇生が必要な死戦期呼吸を聞き間違えてしまい、判断が遅れる可能性があるためです。判断に迷った場合は、胸骨圧迫を開始します。
胸骨圧迫は、胸骨(鎖骨の間のくぼみからみぞおちまでの骨)の下半分の中央あたりを、肩から腕、手のひらまでが垂直になる姿勢で、強く、速く押します。
強さの目安は5cmほど沈み込むように、速さの目安はテンポが100~120BPMの曲です。
今回は、20秒間で何回圧迫できるかを測定した後、推奨テンポの曲『パプリカ』に合わせて胸骨圧迫練習をしました。
あっぱくんは、適切な強さで押すと音が鳴る仕組みですが、女性や子どもでは力が足りず音が鳴らない場合もあるそうです。そのような方は無理をせず、通報やAEDの準備など、自分にできる役割を担うことが大切だというお話が印象的でした。
第二部:災害時に役立つスキル
(ロープワーク、避難所生活の工夫)

第二部では、災害時に役立つ実践的なスキルを学びました。
ロープワークでは、参加者全員にロープが配られ、もやい結び・巻結び・二重テグス結び・かます結びに挑戦しました。
実際にやってみると最初は難しく、参加者の皆さんも苦戦する場面が多く見られました。ですが、一度できるようになるとあっという間にマスターし、繰り返し練習することで自然と身につくことが実感できました。
続いて、頑丈な棒2本と毛布だけで作れる簡易担架の動画を鑑賞し、身近なものを活用した救助の工夫を学びました。
最後は避難所生活の工夫について。
避難所で大きな課題となりやすいのがトイレです。避難所開設直後から多くの人が使うため、あっという間に不衛生な状況になってしまうケースが少なくありません。不衛生なトイレでは使用を我慢する人が増え、トイレを我慢するために水分不足・運動不足になってしまった人がエコノミークラス症候群を発症したり、不衛生なトイレが感染症の温床になったりと、様々な問題を引き起こします。
そういったトイレ問題を防ぐため、避難所開設後はまず「トイレを封鎖」し、運用ルールや清掃方法を周知してから使用を開始することの重要性が説明されました。
参加者の方からは、「この避難所はうまくいったという例はありますか」「避難所はペット同伴で利用できますか」といった質問がありました。
ある避難所では、大人同士でうまくまとまらなかった場合、子どもに協力してもらうことでスムーズに進んだ例があるというお話しや、ペットは居住スペースに同伴できず原則屋外でケージ内飼育が多いこと、自治体によって対応が変わるため、事前に調べておくことが必要だというお話しがありました。
救命も防災も、特別な人だけが行うものではなく、知っているかどうか、備えているかどうかで行動が変わります。備えるためには、自助・共助の意識が欠かせません。
今回の講座が、参加された皆さまにとって「いざという時に動ける自分」になる第一歩となれば幸いです。